教育勅語とならんで、戦後、廃止された「お言葉」である。
いわゆる、軍隊、軍人の「道徳」である。
明治維新は、幕府が倒れて、新政府ができたわけであるが、武士もいなくなった。
武士には、武士道があったが、それをうまく、転換して、明治の武である、軍人に精神的支柱を示す必要があった。
これが、軍人勅諭である。これも、教育勅語と同様、天皇陛下のお言葉という形になっている。
軍人の中にも、旧幕府の元武士もいたわけであるから、全軍人が、素直に聞くことができるためには、帝のお言葉という形でなければならなかった。
さて、その「軍人勅諭」の内容であるが、きわめてわかりやすい道徳である。5つの徳目である。
1.国家への忠節
2.武勇の奨励
3.礼儀の重要性
4.信義の尊重
5.質素な生活
以上の徳目を、身に着ければ、政治的な動きや、クーデターは起こさないであろうと期待されたが、昭和の青年将校の乱がおきたわけであるから、道徳以上に、制度上の仕掛けが必要だったのだろう。